文鳥三昧

文鳥の選び方

 文鳥飼育の楽しみは何といっても手乗りになってくれることです。手乗り文鳥を育てるには、ペットショップなどで文鳥の雛を購入してきて育てればよい、てな事は方々のHPや飼育書にも書かれているので割愛して、雛を育てるのは時間的に難しい、自信がない、あるいは、既に飼っている文鳥に婿/嫁を迎えたい(雛の時期にをお迎えすると♂♀の区別が出来ません)、などという時に使える手を紹介します。
  文鳥雛を扱っているペットショップを何店か回ると、その店で挿し餌で育てられた成鳥(幼鳥・若鳥)に巡り会うことが出来ます。雛の時に売れなかった売れ残りです。売れ残りと言うと言葉が悪いですが、残り物には福があるともいいます。意外によい子に巡り会える可能性は低くはありません。まずは、そういう文鳥を見分けることです。お店に聞いて判れば、それが簡単ですが、売れ残ったまま成鳥になってしまうと他の荒鳥と同じゲージに放り込んでしまう場合も少なくないですし、挿し餌で育っても人への慣れ度合には差がありますので、自分の目に頼った方が確実です。
  まず、ゲージの前に行って文鳥の様子を観察します。挿し餌育ちの子は、こちらを見つめ返してくれる可能性が大です。人間を恐れる気持ちが小さいので、こちらが見つめると「何見てんだ?こいつは何者だ?」という感じで鳥もこちらを観察し始めるのです。場合によっては、手乗り文鳥がゲージを出して欲しいときにする仕草(ゲージ全面の金網に飛び付いてこちらを見つめたり金網に噛みついたりする=俗に言う”文鳥キック”)をしてくれる場合もあります。
  そういう子を見かけたら、その子を目がけてそっと手を近づけてみます。必ず、そっと手を振る程度にして下さい。荒鳥は、そっとやったとしても、手を見ただけで間違いなく逃げます。場合によっては怖がってゲージの中で騒ぎ始めます。挿し餌育ちの子は、平然としています。時には、ゲージに指を入れると指をカミカミしてくれたりします。
  挿し餌育ちの子をお迎えすれば、荒鳥をお迎えするより、ずっと早く手乗りに慣れさせることが出来ます。特に、既に家に手乗り文鳥が先にいる場合は早いようです。時期的には、ヒナ換羽がそこそこ終わって、♂ならぐぜりを始める時期がベスト。幼ければ幼いほど(成鳥としてゲージで過ごした期間が短いほど)早く慣れてくれます。ヒナ換羽が終わっていても生後半年〜1年以内なら大丈夫でした。1年以上の成鳥をお迎えした事はありませんが、荒鳥でもきちんと飼育すれば、じきに慣れて手乗りになったという事例はあちこちで聞きますから、絶望的でもないと思います。
  間違ってはいけないのは「慣れるのが早い」だけであって、挿し餌育ち=手乗りではないという事です。雛を挿し餌で育てても、一人餌になった後、他の鳥たちと一緒にゲージの中だけで暮らしていると、「自分の親は人間だ」などという意識は次第に薄れていき、「自分は文鳥だ」という正しい認識を強く持ち始めるようです。ただ、異様に大きい変な生物(人間)とぐにゅぐにゅ動く5本の棒(指)と板(手のひら)に、過去育てられた」という記憶がどこかに残っていて、荒鳥よりは人間や手を恐れないというだけです。慣れさせる過程で人間や手を「怖い」と思わせるような飼育をすると、全てが終わりです。完全に手乗り化した文鳥に多少手荒なこと(例えば、何かの拍子に手で叩いてしまうとか)をしても、叩かれた瞬間は驚いて逃げますが、「ごめんね〜」てな調子で可愛がってあげればご機嫌を直してくれます。これは、それ以前に十分な信頼関係が出来上がっているからです。手乗り化していない文鳥に「人間や手は怖いものだ」と認識させてしまうと、その認識を払拭するのはかなり困難です。文鳥を怖がらせるような行動をしない、無理に手に乗せようと追い掛け回さないなど、ちょっとした忍耐が必要です。
  慣れさせる第一段階は、やはり餌です。カナリーシードは、どの文鳥も大好きですから、カナリーシードを使うのが効果的です。最近の配合餌には、カナリーシードは十数%しか配合されていません。新しい餌を入れてあげると、まずはカナリーシードから食べ尽くしてしまう文鳥は多いようです。欲しいのに、なかなか食べられないカナリーシードを手のひらに乗せて差し出してあげるのは、かなりの誘惑のようです。この誘惑を利用しない手はありません。
  大抵の文鳥は、人間に興味を持つと、まずは頭の上に止るようになります。本能的に「高い場所は安全」と考える上に、手と違ってあまり動かない頭に相対的には安心感を覚えるようです。また、この辺が完全な荒鳥と挿し餌育ちの違うところです。荒鳥は「人間に興味を持つ」事はないように見えます。仮に、興味があるとしても恐怖心が大きいので簡単にはそばに寄ってきません。
  頭の上に止るようになってくれたら、手のひらにカナリーシードを乗せて、額のあたりまで差し出してあげます。最初は、迷ったあげくに飛び去ってしまったり、手には乗らずに頭の上からカナリーシードをついばんだりしますが、何度か繰り返すと、手に乗ってくるようになります。手に乗っても、まだオドオドしながら食べます。なるべく驚かせないように、静かにしてあげましょう。初めて手に乗ってくれたときは、記念写真も撮りたいところですが、この段階では、まだ無理でしょう。
  何度か手のひらから餌を食べ、「手のひらは安全だ」と認識してくれれば、頻繁に餌をねだりに来るようになります。更に、徐々に信頼関係を築いていけば、次第に可愛い手乗り文鳥になってくれるでしょう。一旦、信頼関係を築けば、雛から育てた手乗りと同じように、多少手荒なことをしても大丈夫なようです。私は、1ヶ月くらいしー&トノと仮住いで過ごした後、いやがる文鳥を引越しの為にキャリーケージに無理矢理押し込む、という荒技をやりましたが、引越後も半日くらいで無事関係を修復しました。

 文鳥たちの行動を見ていると、先に住んでいた文鳥の行動を真似ながら、人間の部屋での過ごし方や人間との付き合い方を学んでいるように見えます。恐らく、「お手本」となる手乗り文鳥がいない1羽目の文鳥は、ここに書いた方法でも絵に描いたようにはいかないと思われます。私の場合、かなり幸運に恵まれたのかもしれません。2羽目にお迎えしたトノ君は、まだヒナ換羽中の早い時期にお迎えすることが出来たので、最初から慣れていて手に乗る子でした。1羽目のしーちゃんは、トノ君が手で遊んでいるのを見て、急激に手に慣れていきました。
  そういう意味では、1羽目の文鳥をこの方法で手乗りにするには、相当の忍耐を覚悟していただいた方がよいと思います。ペットショップによっては、一人餌まで雛を預ってくれるところもあります(大抵、別途追加費用が必要ですが)。そういうサービスはしてくれなくても、「一人餌まで売れ残ったら、必ず買いに来るので連絡ください」と頼めば、連絡さえくれないショップはないでしょう。雛を育てるのが難しくても、方法は色々あります。まずは無理のない方法で、あなたの文ちゃんと出会い、文鳥の魅力を体感されることをお勧めします。

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